トリコモナス症と性交痛
トリコモナス症になると、女性の場合はデリケートゾーンの強い痒みやただれ、泡状のオリモノだけでなく、性交痛が認められることもあります。
一般的な性行為によりトリコモナス原虫という微生物を原因として感染するトリコモナス症は、性感染症(STD)です。
膣や尿道などの粘膜部分に寄生されることにより感染しますが、膣感染によって外陰部の痒みや膣内部の刺激感・過敏症などによって、性交時に強い痛みとなるケースがあります。
感染の状況にもより、症状の発生には個人差が大きい病気なのですが、さまざまな痛みを訴える人がおり、痛みの部位もいろいろです。
膣の入り口付近が痛むものから、膣の深部が傷むケースまで、痛みの度合いもさまざまで性行為ができないということも少なくありません。
医療機関で投薬治療を受ければ治りますが、パートナーに感染していると思われますので(感染源はパートナーかもしれません)、男性は症状が無い場合も多々ありますが、同時に治療することをおすすめします。
性交痛には、いくつかの原因が考えられますが、精神的・心理的な要因のケースとともに、器質的な原因・女性器にトラブルが生じているケースも少なくありません。
膣炎などの炎症をおこしていたり、腫瘍がある場合だけでなく、性病・性感染症などが原因で性交痛をともなうことも多々あるのです。
性交痛をおこしやすい性感染症としては「カンジダ症」「クラミジア症」「膣トリコモナス症」などが、よく知られている病名かもしれません。
一般的に性感染症による性交痛の場合は、膣入り口付近が痛むと言われています。
子宮筋腫や子宮内膜症などの場合は、子宮のトラブルなので奥の方、膣の深部に痛みを感じやすいとされています。
他にも癒着などでも深部が引き連れるような痛みを覚えるとされていますし、クラミジアでも癒着を引き起こすことがあります。
トリコモナス症でも、膣深部が痛いと訴える人もいるようです。
トリコモナスに感染していると外陰部の掻痒感(そうようかん)、いたがゆくなって、ただれたりしますし、膣の粘膜が赤く腫れてきたりします。
泡状の緑色っぽいオリモノや悪臭だけでなく、少量の出血があったり、性交渉のさいには強い痛みが伴うこともあります。
悪化すると性行為ができないくらいの激痛となり、そうなると子宮頚部に点状の出血斑(赤い「いちご状」斑点)が認められるくらいの状況になっていることが多いようです。
トリコモナス症では、膣内の自浄作用が低下している状態なので、バリア機能が格段に落ちていて、他の性感染症にもかかりやすくなります。
大腸菌や、ブドウ球菌などの、いつもなら撃退できているような常在菌の繁殖を許してしまい、膣炎や膀胱炎など炎症をおこします。
外因炎として、外陰部に炎症をおこし、性交痛の一因となっていることも多々あります。
トリコモナス症は、不妊症や早期出産(流産)などの原因になることもありますし、子宮がんやHIV感染のリスクも増えるとされています。
男性は無症状のケースが多く放置されがちですが、女性側だけで治療しても何度もうつされてしまいますので、パートナーの男性も一緒に治療していくことが大切となります。